大阪市立大学同窓会(全学同窓会)

秋のワンデートリップ―大阪市立大学理学部附属植物園で晩秋を楽しむ―

と き:平成28年11月17日(木)
ところ:大阪市立大学理学部植物園

 晴天に恵まれた、晩秋の一日を大阪市立大学理学部植物園にて過ごす。
 案内役は、理学部OBの前植物園長の岡田さん。国内外から多くの植物が収集され、日本産の樹木は450種類と日本有数の植物園で1950年に開園。敷地面積は、甲子園球場の約6倍、日本の典型的な11 の樹林型(5つの照葉樹林、3つの落葉樹林、3つの針葉樹林)を再現・展示している。公園入口近くには、巨木クスノキがあり、撮影スポットで一番人気とのこと。メタセコイアなど稀少種、とくに多種のタケコーナーなどは、この植物園の目玉といえる。
 赤と黄色の彩りが美しく、都会人のストレスを解消する森林セラピーの場であるのを実感した。
 大阪市立大学大学院理学研究科 植松千代美さんの報告を要約して掲載しておきます。

onedaytrip2「大阪市立大学理学部附属植物園で、いま、なぜ、都市と森か?」

 地球上には70 億人以上が暮らし、この人類の生存を支えているのが生態系の中で唯一太陽の光エネルギーを用いて光合成により物質生産を行うことのできる植物(=生産者)。昆虫もクモも鳥も私たちヒトを含むほ乳類も、あらゆる動物は、生産者の生産する有機物を食糧として生きる消費者にすぎず、生産者も消費者も生命をまっとうした後は土壌中の分解者によって分解され、再び生産者である植物に利用される。これら三者、すなわち生産者、消費者、分解者の間で物質が滞ることなく循環する状態がバランスのとれた生態系である。

 都市生態系では分解者が生息する大地は建物やアスファルトで覆われ、生産者である植物が生育できる大地は限られ、従って昆虫相や動物相もとても貧弱で、この関係を生態系ピラミッドで表せば、土台がやせ細り、頂点のヒトだけが突出したアンバランスな形となっている。このようにアンバランスな都市生態系で、私たちは食糧を農地生態系に、生存に不可欠な酸素を森林生態系に依存しながら、なおかつ大量の化石燃料を使用してCO2 を発生させながら暮らしています。このように一方的な依存関係を継続すれば、それはいつか破綻する。環境の世紀といわれる今、都市と森や農村が将来にわたって共存できる、永続可能な関係を模索すべき時に来ている。

 地球温暖化や環境破壊による森林の減少や農地の砂漠化が進行する中、多くの人々が森や自然を大切なものと考え、それらを守りたいと考え始めています。けれども都市における日々の暮らしは自然から乖離し、守りたい自然がどのようなものなのか、あるいはどのように守ったらよいのかということが大変わかりにくくなっています。また、森や自然が大切と感じていても、なぜ大切なのかと改めて問われると返答に窮してしまうことも少なくないでしょう。そこで本プロジェクトでは、いま一度、森や自然がどのようなものか、なぜ大切かを体験を通して知っていただくことをめざした。

 都市近郊にあってアクセスの容易な、貴重な学びの森であり、森の大切さを知ることは、すなわち森の役割を知ることです。私たちは植物園の森の役割として、CO2 固定能と、そこに生息する生物の多様性に着目し、それらを明らかにすることをめざした。市民参加型の「森の教室」、「環境講座」、ワークショップなどの形で市民に還元することが重要であると考え、実施してきた。

 都市に暮らす人々-大人も子どもも-がこれらのイベントに参加して森の役割を知り、自然とはどのようなものかを体験を通して知ることが変化への第一歩となる。森や自然への理解が深まり、大切さを認識したときに、自然との接し方が変わることが期待される。

 一人一人の考え方が変わり、行動が変わるときに、都市と森が共生できる永続可能な社会の実現に一歩近づくと言える。都市近郊の森の植物園が果たすべき役割がここにある。

(文責:上村修三・商昭53卒)


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2016.12.01

同窓会報 有恒

  • 第19号
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